1.共訳版(講談社)
旨樫さんにお借りしました。
まずは一番古いものから。昭和27年(1952年)4月の発行。
ソフトカバーの本です。
※三銃士マンガ「エトワール」でも紹介されていたものです。
山田孝太郎氏のサイトの日記(2007年08月06日)では、写真もアップされてました。仮名遣いからして古いです。なんたって「い」が「ゐ」です。(笑)
6人に訳されています。
「ダルタニャン物語」という総称が使われていて、全11巻構成というのは、現在の(一番新しい)ダル物と同じです。
第1巻と第2巻は鈴木力衛氏と丸山熊雄氏の共訳となってます。
ざっと目を通してみたところ、第1巻は、前半を鈴木氏が、後半を丸山氏が担当、第2巻は、前半を丸山氏が、後半を鈴木氏が担当してるようです。(追記:旨樫さんのブログを確認しましたら、同じ解釈をされてました)
ちなみに第5巻も丸山氏と笹森猛正氏の共訳ですが、さすがにどっちがどっちかはわかりません。んー、まあ、たぶん前半が丸山氏かな?2.共訳版(河出書房新社)
旨樫さんにお借りしました。
次に古いもの。昭和36年(1961年)11月の発行。
旨樫さんに私信。この本の色についてですが、前回の私の写真、なぜ青く写ってしまったのか謎です。実物はどう見ても黒いです。(果てしなく黒に近い紺とも言えるかな?)混乱させて申し訳ありません。世界文学全集、全80巻の中の1巻で、内容は第一部「三銃士」のみ。
1の講談社共訳版の第1巻と第2巻を、ちょっと校正して読みやすくしたもの、という感じです。
現代仮名遣いになってます。
3.鈴木氏個人訳(講談社)
私が持ってるものです。
次のもの。昭和43年(1968年)8月の発行。
1や2の共訳版をもとに、鈴木氏が一人でさらに読み物として楽しめる文章に練り上げた作品。
これが現在のダル物へと通じます。
さて、ちょっと調べてみました。
まずは通貨の注釈がついているかどうか。
1:なし
2:なし
3:あり
1リーヴルが1000円内外という注釈がついているのは3が初めてですので、つまり、1968年頃の計算になるということですね。
次に、修道院長っぽい人が入っているかどうか。
以前こちらでもご報告したんですが、一人抜けてる人物がいたんですよ。
修道院長っぽい人が。
これがですね、共訳版にはいたんですよ。
1:あり
2:あり
3:なし
この部分は、共訳版で丸山氏が担当した部分だと思われます。
鈴木氏の個人訳になる時に、どうやら飛ばされてしまったようであります。
かわいそうに。(笑)
ちなみに、丸山訳では「大修院長」と訳されていました。
(9/24追記:修道院長っぽい人が抜けてる点は、いるっちさんのとこの読み比べで既に挙げられてましたね…。ご指摘を受けるまで忘れてました、すいません。読んだ記憶はあるのに。)
というわけで、研究おしまい。